さいとー・ま

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ブラックフェミニズムの思想01

パトリシア・ヒル・コリンズの本の一部を訳していきます。
初版への序文

1段落

When I was five years old, I was chosen to play Spring in my preschool pageant. Sitting on my throne, I proudly presided over a court of children portraying birds, flowers, and the other, “lesser” seasons. Being surrounded by children like myself—the daughters and sons of laborers, domestic workers, secretaries, and factory workers—affirmed who I was. When my turn came to speak, I delivered my few lines masterfully, with great enthusiasm and energy. I loved my part because I was Spring, the season of new life and hope. All of the grown-ups told me how vital my part was and congratulated me on how well I had done.Their words and hugs made me feel that I was important and that what I thought, and felt, and accomplished mattered.

五歳の時に、幼稚園の仮装行進(ページェント)において私は春を演じることを選んだ。王座に座った私は、鳥、花、他の「劣った」季節を演じる子供たちの従者たちが仕える者となることで、誇り高い気持ちになっていた。自分に似ているような子供たち(労働者、家内労働者、秘書、工場労働者の娘や息子)に囲まれることによって、私の属性が認められたのであった。話す番が回ってきた時に王様みたいに、やる気と力に満ち溢れながら言えた台詞はほとんどなかった。自分の役が大好きだったのは、私が春、新たな生命と希望の季節だったからだった。大人たちはみな、その役がどれだけ重要であるのかを伝えてくれて、演じることが上手だったとほめてくれた。そうやって言ってもらえて、ハグしてもらえて、私は自分が大事な存在なのだと感じ、私が考えること、私が感じること、私が成し遂げたことは重要なのだと感じた。


Spring: 春。大文字なのは役の名前であるからで、季節は擬人化して語られることが多い(https://www.grammar-monster.com/lessons/capital_letters_spring_summer_autumn_winter_seasons.htm)。
preschool: 形容詞なら就学前の、だが、名詞なら幼稚園。アメリカ合衆国だと3歳から5歳の子どもが通う場所(https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/preschool)。ここでは、形容詞でもあるが、就学前のページェントでは、固すぎるし、なんのことか分からない気がする。
pageant: ページェント。「仮装行列」と訳しうるらしい。発音はパジャントぐらい。次の引用を参照のこと。

中世イギリスにおける宗教劇の上演形式の一種。正確な発音はパジャント。台本のうえからはサイクルcycle(連続劇)とよばれるもので、並列舞台(マンション)の一形式である。日本では山車(だし)、屋体(台)、車舞台などと同義に用いられることが多く、また広く野外劇や見せ物行列などをさすこともある。

 13~14世紀、6月初旬の聖体節の行事の一部として各種の同業組合(ギルド)が町角や広場に繰り出した車舞台は、一般に二層からなり、上部が舞台、下部は楽屋として幕で仕切られ、同時に地獄を表していた。そうして各車舞台は普通48の場面からなるサイクルの一場面を受け持ち、次々に決まった場所に移動して、待ち構える観衆の前で演じた。上演は早朝から、まる1日を要した。20世紀初頭にイギリス各地で復活したページェントは、都市の記念行事的な一種のスペクタクル行列であり、これは日本にも影響を与えて、大正初期以来、坪内逍遙(しょうよう)を中心にいくつかの試みがなされた。とくに1922年(大正11)京都知恩院で行われた『織田信長』(総指揮小山内薫(おさないかおる)、主演2世市川左団次)は有名である。

[大島 勉]
ページェント(ぺーじぇんと)とは? 意味や使い方 - コトバンク

throne:王座
preside:議長となる、司会となる(atは場所、overは司会者としての権威を示す)
court:(国王などの)従者、随行
portray:(舞台などで)…の役を演じる
affirmed who I was:私がなんであるか→ここでは黒人や女性であることなので、属性。元は「自分自身」と訳していた。

When things became too claustrophobic, I would cycle, bus and later risk life on a moped to get to the nearest city where it was possible to see the portraits, sculptures and artefacts that seemed to speak to my history, and to browse the museum bookshops for postcards and books of my cultural heroes, many of them LGBT without me knowing it. Those connections affirmed who I was and encouraged me to learn more.
https://blog.nms.ac.uk/2021/02/25/inspiring-body-mind-and-spirit/

In retrospect, I did not think that a simple exchange of a smile or hug actually impacted me in such a way that it stabilized my mood, gave me a sense of belonging and ultimately affirmed who I was as an individual.
https://stanforddaily.com/2020/11/17/lines-of-love-transforming-our-definition-of-platonic-love/

masterfully :masetrfulは人を支配するような(横暴な、主人のような)で、masterlyは技術がある、すぐれた腕前の、という意味で使うというのが原則だが、masterfulをすぐれた腕前のという意味で使うこともある。王様のようにと訳したけれど、ジェンダーの観点からいえば王様は男と見られがちだったことがあるから微妙かもしれない。
with great enthusiasm:とても熱中して、熱狂的に 、大きな熱意をもって、やる気満々で
congratulate: praise sb for an achievement